俺と凪は姉弟ではなく、いとこだ。
凪の父親と俺の父親が兄弟で……そのあたりのことも凪が適当に話しておいてくれると思う。
……俺は、あまり自分のことについて話すのは好きじゃないから。それは多分、凪も同じだろうけど。
“上手い”から、大丈夫だと知っている。
窮屈な私服から楽な部屋着に着替えて部屋から出た。すると、凪と祠稀が話を中断して俺に視線を移す。
「ちょっと彗~……あの痣どうしてできたと思う?」
「なんだよ。もう終わったことなんだからいいだろーがっ」
……ほら、やっぱり。凪は俺なんかより、はるかに人と会話するのが上手いんだ。
「……喧嘩?」
「そう、喧嘩」
自室のドアを閉めると、美少年……祠稀はニヤリと口の端を上げて笑う。その口元には、耳からチェーンを繋げたピアス。
それには違和感を感じないけど、口の端にある青あざが残念。端正な顔にはとてもじゃないけど似合わない。



