僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「改めまして、あたしが募集人の夢虹 凪。で、そっちが……ってちょっと待て!」


自室に入ろとしていた俺は凪の声に引き止められる。


「……着替えたい」

「挨拶が先でしょーが!」


……めんどくさい。


なんて目で訴えても睨まれてしまい、俺は諦めて口を開いた。


「……夢虹 彗」


それだけ言ってそそくさと自室に入り、ドアを閉めようとすると聞こえる凪の弁解。


「ごめん、めんどくさがりで人見知りなの。あんま気にしないで」

「いや。凪に彗な。もう知ってると思うけど、日向 祠稀。呼び捨てでいいから」


パタンと閉めたドアに寄りかかり、重かった荷物をやっと手から離して床に置いた。


「つか姉弟? ムコウって、名字――…」


ドアから離れると声は聞き取れなくなる。


ふつう疑問に思うだろうなと分かっていたから凪に任せた。