「改めまして、あたしが募集人の夢虹 凪。で、そっちが……ってちょっと待て!」
自室に入ろとしていた俺は凪の声に引き止められる。
「……着替えたい」
「挨拶が先でしょーが!」
……めんどくさい。
なんて目で訴えても睨まれてしまい、俺は諦めて口を開いた。
「……夢虹 彗」
それだけ言ってそそくさと自室に入り、ドアを閉めようとすると聞こえる凪の弁解。
「ごめん、めんどくさがりで人見知りなの。あんま気にしないで」
「いや。凪に彗な。もう知ってると思うけど、日向 祠稀。呼び捨てでいいから」
パタンと閉めたドアに寄りかかり、重かった荷物をやっと手から離して床に置いた。
「つか姉弟? ムコウって、名字――…」
ドアから離れると声は聞き取れなくなる。
ふつう疑問に思うだろうなと分かっていたから凪に任せた。



