僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「電話? 出ていいよ」

「すいませんっ」


大雅先輩に一言謝り、「もしもし?」と電話に出る。


『……雑用終わった?』


眠たそうな彗の声に、自然と笑みが浮かんだ。


「ごめんごめん! ちょっと立ち話しててっ」

『今、凪のカバン持ってる。どこ?』

「さすが! 今ね、職員室の前」


少し辺りを見渡すけど彗は見当たらず、自分の足元を意味もなく見つめる。


『……ああ、大雅先輩ね……』

「へ?」


プツッと電話が切れる。振り返ると、ちょうど廊下の曲がり角から出てきた彗の姿を確認した。


「あ、彗くん。今の電話も?」

「そうですーって、彗と知り合いですか?」


携帯から大雅先輩に視線を移すと、「うん」と返事が返ってくる。


「1回、自販機の前でたまたま会って。ちょっと話したんだよ」

「へー……」


あの彗が。珍しい……ちゃんと会話になったのかな?