「え、てか、来るの早くない!? 夜9時らへんって言ってたじゃん……!」
「あー、予定なくなったから早めに来た。都合悪かった?」
「いや、別にいいけど……とりあえず入……って彗、早っ!」
既に家の中に入って靴を脱いでいた俺に凪が驚くが、特に気にすることもなく廊下を進む。
後ろで「とりあえずどーぞ」と凪が言うのを聞きながら、シキって珍しい名前だなと思った。
「荷物そこらへんに置いてくれる?」
凪から受け取っていた食材をひとまず冷蔵庫にしまっていると、ふたりがリビングに入ってくる。
「広いなおい……想像より遥かにいい物件ー」
辺りをキョロキョロ眺める美少年に構わず、凪は話し出した。



