僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「え、てか、来るの早くない!? 夜9時らへんって言ってたじゃん……!」

「あー、予定なくなったから早めに来た。都合悪かった?」

「いや、別にいいけど……とりあえず入……って彗、早っ!」


既に家の中に入って靴を脱いでいた俺に凪が驚くが、特に気にすることもなく廊下を進む。


後ろで「とりあえずどーぞ」と凪が言うのを聞きながら、シキって珍しい名前だなと思った。



「荷物そこらへんに置いてくれる?」


凪から受け取っていた食材をひとまず冷蔵庫にしまっていると、ふたりがリビングに入ってくる。


「広いなおい……想像より遥かにいい物件ー」


辺りをキョロキョロ眺める美少年に構わず、凪は話し出した。