僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「あーマジよかった! 予定より早く来たんだけど、つかオートロック開けてもらってここまで来たはいいけど、いねぇから焦った」

「え? 何? ……え?」

「管理人?に俺のこと話してくれてただろ? んで入れてもらったんだけど、さすがに中で待ってるわけにはいかねーじゃん」


肩下まであるブルーブラックの髪を耳にかけながら、美少年は今までの経緯を話す。


「……もしかして」


困惑していた凪は、やっと理解したみたい。


「日向……祠稀?」


凪の問いに美少年は小さめのボストンバッグを肩に掛け直し、俺と凪を交互に見る。


「今日からよろしく」


ブラックデニムのポケットに両手を突っ込んで、口の端を上げる夕刻の訪問者。


それは予定より早く来たふたり目の同居人、日向 祠稀(ひゅうが しき)だった。