僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「はははっ! 彗くんって、天然?」

「……よく言われますけど……」


自覚はないし、できれば否定したい。けど……面倒なのも確か。


ひとしきり笑った大雅先輩は目尻を拭って、笑顔を見せた。


「有須のこと、いいなとは思ってる」

「……そうなんですか」


――なんだろう。この、違和感。


大雅先輩は笑顔だし、鼻につくような言い方ではないのに、嫌な感じがする。


まるで有須は渡さないと遠回しに言われてるような。なんとなく、威圧感を感じた。


「有須も気付いてないみたいだけど、秘密にしてね」

「……」


秘密も何も、凪と祠稀はそのあたり敏感だから、俺にはどうしようもないというか。


そういえば、大雅先輩は有須に好意を持ってるって凪が言ってた気がする……。


それ以前にこの人は有須をデートに誘ったんだから、気付くのがふつうなのか。


そんなことを考えて、鈍いと言われる理由が分かった。