僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「あ? どこ行くんだよ凪っ」

「トイレ! 祠稀のボケカスアホッ! ハゲろ女好きバカ!」

「どんだけ捨て台詞吐く気だテメェ!」

「永遠に言ってやる!」


あたしは逃げるように席を立って、廊下に出る。別に腹が立ったからとかじゃなくて、自分に嫌気が差したからだ。


大股で歩いていた歩幅を小さくして、速度も緩めて立ち止まる。


有須が止めてくれてよかった。

何を言う気だったんだ……あたしのバカ。


彼氏は欲しいけど、モテたいわけじゃない。モテなくていい。


あたしは、たったひとりの人に愛されればいい。


あたし以外、誰も見えないくらい。いちばんにあたしを見ていてくれる人に愛されれば……きっと、徐々に満たされる。


もう何年も空いたままの、心の穴が。


彼氏ができることよりも、たったひとりの人に愛されることよりも。大嫌いなあの人に愛されさえすれば、一瞬で満たされるんだけど。


「……愛されないっつーの……」


ぽつりと呟いた言葉は誰に届くわけでもなく。虚しさだけを残して、宙に消えていった。