僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……」


大雅先輩とはまた違う手の大きさ。ガタイのいい大雅先輩とは真逆で、華奢な彗の体と手。


……大雅先輩とは違う、胸の高鳴りはなんだろう。


今日あったこと、報告しようって思ってたのに、何ひとつ口から出てこない。


凪に言われて迎えに来たのかな。


どうして駅に来たの?

どうしてあたしに気付いたの?

どうして何も聞かないの?


聞きたいのに唇はぴくりとも動かなくて、聞けない。


ううん。きっと今は、聞きたくないんだ。


あたしより1歩先に歩く彗の背中を、黙って見ていたかった。


彗の優しさにそっと寄りかかるように、甘えていたかったの。