僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……どうしたの、有須」


過去と現在に阻まれたあたしのもとに、ふわりと温かい空気と香りが溶けるように現れた。


「――…」


スッと頭に入ってきた馴染みのある声に泣きそうになった。だけどぐっと我慢して、膝に付けていた顔を恐る恐る上げる。


まるで駅前の明かりを吸い込んでるような、反射してるような……例えようのないくらい綺麗な瞳と目が合った。


「彗……」

「うん?」


なぜか無性に、抱きつきたいよ。


「……お腹痛い?」


あたしと同じ目線にいた彗に、緩く首を振る。


――なんでもないよ。なんでも、ない。


そう言いたいのに思うように口が開かなくて、曖昧に微笑むことしかできなかった。