「有須?」
「あっ、いえ! 大丈夫ですっ」
大雅先輩は疑問符を頭に浮かべたけど、すぐに柔く目を細めた。
「じゃ、また明日」
「あっ、はい! また明日っ」
大雅先輩は軽く手を上げて微笑むと、駅構内に入って行く。その後ろ姿が見えなくなるまで、あたしはぼーっと突っ立ていた。
「……」
聞こえていなかった雑踏の音が耳に入り、まるで夢から覚めたようにハッとする。
駅前は行き交う人々で溢れていて、通りすがりの女子高生と目が合ったことで視線を逸らした。
えっと……あ、帰らなきゃ。気をつけて……変な人に、狙われないように……。
――ダレガ?
あたしが? また……、
――ネラワレル?
「……っ、」
ズキンと頭に痛みが走り、とっさにしゃがみ込んだあたしは両手でこめかみを押さえた。



