僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「有須?」


名前を呼ばれ、我に返る。俯いていた顔を上げると、きょとんとしている大雅先輩。


「あ……えと」

あたしはいったい何を考えて……。


意志とは関係なしに頬が熱を帯びる。それが恥ずかしくてまた俯いてしまうと、あたしの頭を撫でていたはずの手が不意に右手に触れた。


「ははっ! 行こ」


……えっ! えっ! えぇっ!?


大きな手があたしの右手を引く。その瞬間足は前に出て、景色はどんどん後ろへと流れていった。


見慣れてるはずの街が、別のものに見える。


大雅先輩と繋がった手から、徐々に視線を上に動かした。


「どこ行こっか」


ほんの少しだけ振り返った大雅先輩。


あたしより全然高い位置にあった笑顔は眩しいほど爽やかで、胸の奥がギュッと締めつけられるのを感じていた。