僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「いいじゃん。行かねぇの?」

「だっ、だって! あんまり話したことないんだもん! 部活の先輩ってだけで……」


これでもかってくらい真っ赤になる有須に、凪は立ち上がってその細い肩を抱く。


凪の表情はもう、完全に酔っ払って若い女の子に絡むおじさんみたいだ。


「デートしちゃえばいいじゃ~ん。嫌いなの? 大雅先輩」

「え!? き、嫌いじゃないけどっ! 好きとか…そんな風に見たこと…な、いし……」

「じゃあいいじゃん! 何事も経験だし! 遊んできなよっ」


真っ赤になる有須の顔を覗き込んで、凪はニカッと笑う。


……凪って、こんな風に人の恋愛沙汰で盛り上がるんだ。


知らなかったとか、珍しいなとか思うわけじゃなくて。俺は凪自身の恋愛しか聞いたことがなかったから、凪以外の恋愛にどういう反応をするのが正解なのか分からない。


「……こんなこと初めてで……どうすればいいか分かんないよ〜!」

「かわいい! お姉さんになんでも聞きなさい! よっしゃ、帰るよ! 会議会議!」


凪は有須の肩を抱いたままカバンを持って、「今日は寝かせないからね〜!」と、有須の席までウキウキと向かう。