「いいじゃん。行かねぇの?」
「だっ、だって! あんまり話したことないんだもん! 部活の先輩ってだけで……」
これでもかってくらい真っ赤になる有須に、凪は立ち上がってその細い肩を抱く。
凪の表情はもう、完全に酔っ払って若い女の子に絡むおじさんみたいだ。
「デートしちゃえばいいじゃ~ん。嫌いなの? 大雅先輩」
「え!? き、嫌いじゃないけどっ! 好きとか…そんな風に見たこと…な、いし……」
「じゃあいいじゃん! 何事も経験だし! 遊んできなよっ」
真っ赤になる有須の顔を覗き込んで、凪はニカッと笑う。
……凪って、こんな風に人の恋愛沙汰で盛り上がるんだ。
知らなかったとか、珍しいなとか思うわけじゃなくて。俺は凪自身の恋愛しか聞いたことがなかったから、凪以外の恋愛にどういう反応をするのが正解なのか分からない。
「……こんなこと初めてで……どうすればいいか分かんないよ〜!」
「かわいい! お姉さんになんでも聞きなさい! よっしゃ、帰るよ! 会議会議!」
凪は有須の肩を抱いたままカバンを持って、「今日は寝かせないからね〜!」と、有須の席までウキウキと向かう。



