下駄箱まで来た時、ふと見当たらない存在に気付く。
カーディガンのポケットの中にも、カバンの外ポケットにも入っていなかった。
「最っ悪! 携帯忘れた! 机の中だ!」
「はいバカー」
「うっさい祠稀! ああもーっ! 面倒くさい……」
また教室まで戻るとか……。立ち止まったみんなをちらりと見遣ってから、肩を落とす。
「あー……先帰ってていいよ」
「え? どうして? あたしたちここで待ってるよっ」
「いや。もうね、教室戻ってここに着くのに、超時間かかると思うから」
……なぁにその、「ありえる」って顔は。
「とにかくっ、帰ってていいから! あたしはダラダラと帰りますっ」
さっと右手を肩まで上げ、あたしは気怠く踵を返す。



