「言っとくけど、家事は毎日ローテーションで分担するからね」
隣を歩く彗にフフンと口の端を上げると、思い切り眉を下げられる。
「……ヤダ」
「ヤダじゃない!」
「料理できない」
「覚えればいい話でしょーがっ」
「俺ね、麺類が好き」
「はい?」
「特にラーメン」と聞いてないのに言ってくる彗に呆れながらも、苦笑してしまう。こういうところが変わってない。
「今日はダメ。家にお米いっぱいあるから、今度ね」
それであたしは彗のそういうところに弱い。
知ってか知らずか、今度ねというあたしに彗は嬉しそうに微笑むから。彗の要望を断れる気がしないのも確か。
「味噌が好き」
「だぁ! 分かったから! 今日は味噌汁で我慢しなさいっ」
カートを押す彗に怒りながら、頭の中でいつラーメンを作ろうと考えていた。



