僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「言っとくけど、家事は毎日ローテーションで分担するからね」


隣を歩く彗にフフンと口の端を上げると、思い切り眉を下げられる。


「……ヤダ」

「ヤダじゃない!」

「料理できない」

「覚えればいい話でしょーがっ」

「俺ね、麺類が好き」

「はい?」


「特にラーメン」と聞いてないのに言ってくる彗に呆れながらも、苦笑してしまう。こういうところが変わってない。


「今日はダメ。家にお米いっぱいあるから、今度ね」


それであたしは彗のそういうところに弱い。


知ってか知らずか、今度ねというあたしに彗は嬉しそうに微笑むから。彗の要望を断れる気がしないのも確か。


「味噌が好き」

「だぁ! 分かったから! 今日は味噌汁で我慢しなさいっ」


カートを押す彗に怒りながら、頭の中でいつラーメンを作ろうと考えていた。