僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



……兄ちゃんみたいだとよ。


……なあ、そんなこと聞いたら……アンタは…どう思う…?


……なあ。クソ親父……。



完全に眠りに落ちる前に、鮮烈に昔のことを思い出した。


……ああ…そういえば…。


俺、昔……。……時計の音…嫌いだったな……。


心地良い秒針の音が、完全に遠のく。




――夢を見た。


この家に来るまでの、昔の俺の夢。居場所がなかった頃の、俺の夢。


光輝く夜の歓楽街。派手な格好の男女。笑顔を振りまく大人たち。場違いな子供。路地裏。汚い廃墟ビル。懐かしい、仲間。



『……シキ? へぇ、綺麗な名前だね』


あまりにも短かった、でも全てだった。幸せだった頃の、夢を見た。