……兄ちゃんみたいって。俺ってそんな風に見えるのか。
たまに彗がふざけて兄貴って呼ぶけど……いや、あれはふざけてんのか?
彗の突拍子のない発言は、嘘か冗談かたまに分かんねぇ。……それも醍醐味?
カチ、カチ、カチ、と、規則的な秒針の音が耳に届く。
リビングの明かりが消えた音。有須が自室に戻った音。静寂を取り戻した家。
再び秒針の音だけが、ぼんやりする頭に耳を通して届く。
……そういやもうすぐ、テストなんだよな。どうせ一夜漬けになりそうだけど……。
――カチ、カチ、カチ…。
秒針の音が、まるで俺の心音と溶け合ってるような錯覚を起こす。
……そういや昔は…勉強すんの、好きだったな…。
……いつからしなくなったっけ……。
段々薄れゆく思考の中で、俺はまだ脳を働かせていた。



