僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



……兄ちゃんみたいって。俺ってそんな風に見えるのか。


たまに彗がふざけて兄貴って呼ぶけど……いや、あれはふざけてんのか?


彗の突拍子のない発言は、嘘か冗談かたまに分かんねぇ。……それも醍醐味?



カチ、カチ、カチ、と、規則的な秒針の音が耳に届く。


リビングの明かりが消えた音。有須が自室に戻った音。静寂を取り戻した家。


再び秒針の音だけが、ぼんやりする頭に耳を通して届く。


……そういやもうすぐ、テストなんだよな。どうせ一夜漬けになりそうだけど……。


――カチ、カチ、カチ…。


秒針の音が、まるで俺の心音と溶け合ってるような錯覚を起こす。


……そういや昔は…勉強すんの、好きだったな…。


……いつからしなくなったっけ……。


段々薄れゆく思考の中で、俺はまだ脳を働かせていた。