僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


◆Side:祠稀


────カチッ。


息を吸うと、口に咥えた煙草の先からジジッと火がつく音がする。


「……フー」


深夜3時、俺はベランダの手すりに肘を付き、わりと綺麗な夜景を無心に眺めていた。


今日もいつも通り、ただ試験が近いだけのなんてことない日。どこか違うところがあるとすれば、凪だけだろう。


放課後と、家に帰ってから11半過ぎまで、彗にみっちり勉強させられていた。


俺は何もしてない。余裕なのかと聞かれればそうでもないけど、まあなんとかなると思ってる。


そんなことを考えていると、ゆらゆらと舞っていた紫煙が目にしみて、痛みが走る。


「……イッテー」


目を擦りながら夜景に背を向け、手すりに寄りかかった。そのままグン、と背をのけ反らせて真っ暗な空を見上げる。


欠けた月と無数の星が瞳に映し出され、僅かに感傷的になる胸の奥に嫌気が差した。


そろそろ寝っか。


もう一度煙草を吸ってから自室に戻ろうとすると、明かりが消えていたリビングに光が差し込んだ。