僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ


◆Side:彗


「……聞いてる?」


夜9時前、俺は自分の部屋で凪に勉強を教えている。が、肝心の凪がテーブルに突っ伏してしまった。


のそりと顔だけ俺に向ける凪は、まるで元気がない。


「もうすぐ9時だね彗くん」

「そうだね」

「ドラマが始まるよね」

「……そうだね」

「見たいなぁ?」


若干目を輝かせた凪のそれを、俺は容赦なく流す。


「ダメです」

「彗の鬼!」

「人間だよ」

「そういう意味じゃないし。彗のボケ。ハゲ」とブツブツ言いながら、凪は気怠そうに数学の問題集を見る。


……仕方ないなぁ。