◆Side:有須
パチッと目を開けてすぐに、重い瞼を閉じた。
「……」
あれ?
視界に入った光景を脳内で再生して、もう一度ゆっくりと瞼を開ける。いつもと違う肌触りはソファーで、目の前には電源が落とされたテレビ。
やっぱり、リビングだ……。
目を擦りながらのろのろと上半身を起こすと、ソファーの下に見えた人影に目を見張る。
彗、凪、祠稀がカーペットの上で寝息を立てていた。
毛布はちゃんと被ってるけど、寝てる間に奪い合ったのか、3枚の毛布がぐちゃぐちゃと入り乱れてる。
……あたしにも布団ある……あれ? いつ寝たんだっけ。
髪を手櫛で梳きながら、きょろきょろ辺りを見渡す。だけどやっぱり記憶は朧気で、考えても思い出せそうになくて諦めた。
「ふぁ……」
欠伸をすると視界が潤んで、眠気はまだ取れない。
何か飲もうかと思いながら川の字で眠る3人を見ると、自然と頬がゆるんでしまった。



