僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



凪も彗も有須も、それぞれ時間帯の意味を自分なりに考えていたはずだけど、それをわざわざ聞こうとは思わない。


「うん、まあ、ピッタリかなー。なるほどねって感じ」


凪はそう言って、体を仰向けに変えた。彗はそんな凪を見て、真似したようにゴロンと横向きになる。


「……おもしろいね、その例え」


彗は携帯を閉じた俺に微笑んで、有須は同意したのか頷いた。


「10年後だと、大体朝の8時くらいだよ」

「げえ! まだ8時なのかよっ!」


有須の言葉を聞いた瞬間、人生って超なげぇと少し嫌になる。


25歳で朝の8時? 学校……じゃねぇか。仕事行きたくねーとか思ってそうな時間じゃん。人生に疲れた頃だな、きっと。


「これから仕事行く時間っぽいし、まだ準備して自分を飾ってる時間? まだいっぱい選択肢ありそうだね」


え、女ってそっちに行くわけ?