僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「4時半から5時? 俺寝てるけど」

「いや、みんなそうでしょ! 意味って言われてもねー……」


俺と凪がもはや考えることを放棄するかしないかのところで、有須がふふっとおかしそうに笑った。


その様子を見た彗もなんとなく分かってるみたいで、眠そうな瞳を柔く細める。


「……夜明けじゃない?」


そう言った彗に、「ああ!」と凪が声を張り、俺は反応が遅れた。


……夜明け?


「朝を迎える準備をしてる時間帯だね」


有須がそう付け足したことで、俺はバルコニーに視線を移す。カーテンが閉まってるから外は見えないんだけど、頭の中では空の景色が映し出されていた。


夏であれば、もうだいぶ明るい時間。冬であれば、まだ真っ暗な時間。


クッと笑うと、一斉に3人分の視線を浴びる。


「……いいね。ピッタリじゃん。青春くさくて」


バカにしてるのか、そうじゃないのか自分でも分からないほどに口の端を上げた。