僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「っの幸せ者がぁあ!」

「っ! 危な……痛い」


彗にアッパーを食らわせると、凪から難なく離れ、ゴツンと床に頭をぶつけた彗。凪は涙を流したまま、ポカンとして俺を見てる。


「なんだよ、笑えよ幸せ者」


不服な顔を向けると、凪は丸くさせた目を柔く細める。


「ありがとう」


そう言った凪の頬に、きっと今日最後の涙が流れた。


小さな涙の粒さえ宝石のように輝いて、まるで未来へ向かうための道しるべのようにさえ感じた。


「痛い……頭が痛い……」


床に倒れたままブツクサ言う彗を見下ろし、拳を突き出した。


「お前らの勝ちだな」


なんだよ、彗まで目を丸くしやがって。

間違ったことは言ってねぇだろ? そう目で訴えると、彗はふっとおかしそうに笑う。


「俺ら、の、勝ちだよ」


ゴツッと彗の拳が、俺の拳にぶつかった。


幸せな未来への、始まりの合図。