「っの幸せ者がぁあ!」
「っ! 危な……痛い」
彗にアッパーを食らわせると、凪から難なく離れ、ゴツンと床に頭をぶつけた彗。凪は涙を流したまま、ポカンとして俺を見てる。
「なんだよ、笑えよ幸せ者」
不服な顔を向けると、凪は丸くさせた目を柔く細める。
「ありがとう」
そう言った凪の頬に、きっと今日最後の涙が流れた。
小さな涙の粒さえ宝石のように輝いて、まるで未来へ向かうための道しるべのようにさえ感じた。
「痛い……頭が痛い……」
床に倒れたままブツクサ言う彗を見下ろし、拳を突き出した。
「お前らの勝ちだな」
なんだよ、彗まで目を丸くしやがって。
間違ったことは言ってねぇだろ? そう目で訴えると、彗はふっとおかしそうに笑う。
「俺ら、の、勝ちだよ」
ゴツッと彗の拳が、俺の拳にぶつかった。
幸せな未来への、始まりの合図。



