◆Side:祠稀
優しい優しい微笑みで、幸せだと体中から言っている彗がいた。
「……それって、」
分かってるのに、聞いてしまう。彗は泣いてる凪の頭に顔をすり寄せ、そっと目を瞑る。
「……凪と、姉弟になるんだ」
閉じた瞳から、薄く涙がにじみ出ていた。開かれた瞳に浮かぶ涙に、光が反射してキラキラと輝く。
「……養子になるんだ、俺」
「うっ…うぅ〜! すっ……いっ…」
俺も有須も、言葉が出なかった。驚きと戸惑いに交じる、喜びと嬉しさ。
泣き喚いて彗を抱き締める凪。愛しそうに凪を抱き締める彗。
凪の親父……颯輔さんがいたから、颯輔さんが助けてくれたから、今のふたりがいるのは分かってる。
だけど、凪が颯輔さんに話さなければ。彗が颯輔さんを信じなければ。決して見ることできなかったであろう光景。
決して掴み取ることできなかった幸福。
なんにしろ、自力で勝ち取った幸せに変わりはないだろう。
守りたいものを。守るべきものを。身を削る勢いで、凪と彗は守った。それはどんなに幸せなことだろう。
……じわりと、胸がこれまでにないほど熱くなった気がした。



