僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……分かった?」


丁寧に話したつもりだけど、祠稀も有須もずっと黙っていたから少し不安だ。


「……分かったけど」

「……けど?」


祠稀の言葉に首を捻る。


「すげぇな、なんか……颯輔さん?」


祠稀も有須も、颯輔さんの行動や言動に、呆気に取られてるみたいだった。


「俺がいちばん、憧れてる人」

「……さすが凪のお父さん、かな」


有須が大きな瞳を細めて笑い、俺は小さく頷く。


……マンションに着いてから颯輔さんが言った言葉を、俺は思い出していた。


「……マンションに着いてから、颯輔さんが言ったんだ。……社会人になる時は、俺の会社に来てねって」


『彗を部下にするんだ〜』


笑いながら、無邪気に未来を語っていた颯輔さん。


「俺、遠いからヤダよって言ったんだ。凪を部下にしたら?って……そしたら、凪も彗も部下にしたいって笑うんだよ」


そしたら、見たことないくらい幸せそうな笑顔をした。