僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「ていうか……会計ってどうしたの? 飲み逃げ?」

「えぇ!? そんなことしないよ! 店に入って、注文した時に払ったんだよ! お釣りは要らないって言ったら、その券くれたんだ」


ああ……なるほど……。


俺はチケットを枕元に置いていたジャケットのポケットに入れ、そのまま羽織った。


「……今日、帰っちゃうの?」

「んなっ! かっ、かわいいこと言わないでよ彗っ」


胸を押さえ「苦しい」と言う颯輔さんは、凪のお父さんだと……ちょっと信じたくない……。


「ところで、凪は元気?」

「……元気だよ。毎日コキ使われてるもん」

「あはは! 俺もよく怒られたなぁ……ウザイとかウザイとかウザイとか……」

「そっ、颯輔さん……っ」


肩を落として暗くなる颯輔さんに慌てる俺だけど、颯輔さんはすぐに笑顔を見せた。


「まあ、かわいいんだけどねぇ」

「ははっ! 親バカだね」


声を出して笑うと、颯輔さんは少し真剣な目で俺を見た。