「ていうか……会計ってどうしたの? 飲み逃げ?」
「えぇ!? そんなことしないよ! 店に入って、注文した時に払ったんだよ! お釣りは要らないって言ったら、その券くれたんだ」
ああ……なるほど……。
俺はチケットを枕元に置いていたジャケットのポケットに入れ、そのまま羽織った。
「……今日、帰っちゃうの?」
「んなっ! かっ、かわいいこと言わないでよ彗っ」
胸を押さえ「苦しい」と言う颯輔さんは、凪のお父さんだと……ちょっと信じたくない……。
「ところで、凪は元気?」
「……元気だよ。毎日コキ使われてるもん」
「あはは! 俺もよく怒られたなぁ……ウザイとかウザイとかウザイとか……」
「そっ、颯輔さん……っ」
肩を落として暗くなる颯輔さんに慌てる俺だけど、颯輔さんはすぐに笑顔を見せた。
「まあ、かわいいんだけどねぇ」
「ははっ! 親バカだね」
声を出して笑うと、颯輔さんは少し真剣な目で俺を見た。



