「珈琲一杯、サービス券……?」
今日行った、喫茶店のサービス券4枚だった。
何これ。不思議に思って颯輔さんを見ると「あげる」と笑っていた。
……いらない……。
「凪と……有須ちゃんと、祠稀くんだっけ? 今度みんなで行っておいで」
俺はなんでそんな話をするんだろうと思いながら、耳を傾けた。
「今日、あそこで聞かされた大人たちの会話を、頭の隅に残しちゃダメだよ、彗」
「……」
「凪たちと行っておいで。あの場所で、珈琲とケーキでも頼んで、笑って、いい思い出のある場所に変えるんだよ」
……ああ。こういうところも、変わってない。俺には見えないようなところまで颯輔さんは見て、気遣って、優しくしてくれる。
「……颯輔さんがいてくれたのは、忘れないよ」
そう微笑んだ俺にきょとんとしてから、颯輔さんも「俺も彗と珈琲飲んだって記憶に書き換えとく」と、無邪気に笑ってくれた。



