僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「珈琲一杯、サービス券……?」


今日行った、喫茶店のサービス券4枚だった。


何これ。不思議に思って颯輔さんを見ると「あげる」と笑っていた。


……いらない……。


「凪と……有須ちゃんと、祠稀くんだっけ? 今度みんなで行っておいで」


俺はなんでそんな話をするんだろうと思いながら、耳を傾けた。


「今日、あそこで聞かされた大人たちの会話を、頭の隅に残しちゃダメだよ、彗」

「……」

「凪たちと行っておいで。あの場所で、珈琲とケーキでも頼んで、笑って、いい思い出のある場所に変えるんだよ」


……ああ。こういうところも、変わってない。俺には見えないようなところまで颯輔さんは見て、気遣って、優しくしてくれる。


「……颯輔さんがいてくれたのは、忘れないよ」


そう微笑んだ俺にきょとんとしてから、颯輔さんも「俺も彗と珈琲飲んだって記憶に書き換えとく」と、無邪気に笑ってくれた。