「……彗。彗、今、幸せ?」
「――…」
落としていた視線を上げると、昔を変わらない笑顔がそこにあった。言葉が出なくて、瞳を揺らす俺に颯輔さんは眉を下げて微笑む。
「……彗を手放した責任があるだなんて、逆に気負わせたね。俺は確かに後悔してるけど……でも、彗だけが悪いなんてことはないよ」
「……」
「俺も悪かった……ごめんね。親戚に電話しても元気だって聞いてて……凪との手紙交換も続いてたから安心してたんだ。離れてても元気でやってるなら、それでいいって」
颯輔さんはベッドに横たわる俺の眼を見つめながら、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。
「凪との手紙が途切れた頃から、もっとちゃんと、彗の様子を見に行くなりすれば良かった。……今さら、言い訳にしか聞こえないね」
強く首を振ると、颯輔さんは困ったように口の端を上げた。
……忙しい人だって、知ってる。
例え俺に逢いたいと思ってくれたとしても、そんな時間を取ることすら難しい時期だったって、知ってるよ。
凪のことでだって、悩んでた頃なんだ。俺のことまで気遣ってくれなくたって――…。



