「うぅ……ごめんね彗」
病院で手当てをしてもらい、俺の左手首には包帯。幸い動脈ではなく静脈を切ったみたいで、凝固作用を持つ血はすぐに止まった。
ただ一応、血が結構流れたから、ベッドでしばらく安静してから帰るよう言われた俺は、パイプイスに座る颯輔さんに笑顔を向ける。
「……大丈夫だよ、もう止まったんだし。ほら」
左手をプラプラ動かすと、颯輔さんは瞳を潤ませ、また大袈裟に顔を覆い「やばい泣く」と言った。
「……颯輔さん」
「なぁに彗」
「……あの時、ごめんなさい」
そう言った俺に颯輔さんを目を丸くさせてから、首を傾げる。
「颯輔さんは、何も……悪くないよ」
後悔が胸に押し寄せて、視線を落としながら言った。だから颯輔さんが今、どんな表情をしてるかは知らない。
「……自分の意思で、出て行くって言った。……颯輔さんと凪と暮らし続けることを選ばなかったのは、俺だよ」
だから颯輔さんが後悔することは、何もないんだ。
「――弱くて、ごめんなさい」
弱くて、弱くて、結局こんな形で再会してしまって、頼って、迷惑をかけて……ごめんなさい。



