「あなた達は自分のことしか見えてない。私利私欲のために生きる人は、いつか自分の首を絞めますよ? ……行こう彗」
唖然とするおじさん達を見ず颯輔さんは立ち上がり、俺の手首を引く。
「あなた達みたいな人にお貸しできる金など、1円もありません」
颯輔さんはそれだけて言って、俺を引っ張り早々と喫茶店から出た。
え? え? 会計は?
戸惑っている俺を連れて、颯輔さんは足早に歩く。
「待ちなさい!」
振り向くと、通行人にぶつかりながら追い掛けてくるおじさんたちが目に入った。
「そっ、颯輔さん……っ」
「準備して彗。アイツらに何を話しても無駄だよ」
「……」
必死に颯輔さんの横に着いて歩き、その横顔に胸が痛んだ。
眉を寄せて怒ってるようにも見えるけど……俺には、苦しんで悲しんでるように見えたから。
――見覚えがある。初めて逢った時も、俺が親戚の家に行くと言った時も、颯輔さんはこんな表情をしていた気がする。
颯輔さんはどんどん人気のない道へ進んで行く。そのうち、静まり返る住宅街に入って行った。
……準備……。



