「……行っていいよ、凪。話なら、颯輔さんに聞けばいい。俺は祠稀と有須に話すから」
なんでここで、その名前が出てきたのか。
だけどあたしが今朝電話をかけた相手は、確かにパパだ。
お願いをした。頼みたいことがあるって……彗のことを話したあと、おじさんに電話をしてくれないかって……。
「わざわざ、来たの……?」
そこまで頼んでないのに。だからあたしは、祠稀や有須は、おじさんたちがまたこの家に来ると思ってたのに。
「……送ってもらったんだ。マンション出たら、右ね。歩いて駅に向かうって言ってたから……今なら走れば間に合うよ」
「……部屋着だし……怒られる」
「かわいいよ」
二の句が継げずにいると、彗が行けと言わんばかりに背中を押した。
「いってらっしゃい」
振り向くと、優しく幸せそうに笑う彗。祠稀と有須は、理解できてない顔をしていたけど、あたしは急いで玄関に向かった。
――余計なことを。
そう思っても、瞳は涙で濡れている。
あたしは慌ただしくサンダルを履き、押し開けた戸口から飛び出した。
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