僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……行っていいよ、凪。話なら、颯輔さんに聞けばいい。俺は祠稀と有須に話すから」


なんでここで、その名前が出てきたのか。


だけどあたしが今朝電話をかけた相手は、確かにパパだ。


お願いをした。頼みたいことがあるって……彗のことを話したあと、おじさんに電話をしてくれないかって……。


「わざわざ、来たの……?」


そこまで頼んでないのに。だからあたしは、祠稀や有須は、おじさんたちがまたこの家に来ると思ってたのに。


「……送ってもらったんだ。マンション出たら、右ね。歩いて駅に向かうって言ってたから……今なら走れば間に合うよ」

「……部屋着だし……怒られる」

「かわいいよ」


二の句が継げずにいると、彗が行けと言わんばかりに背中を押した。


「いってらっしゃい」


振り向くと、優しく幸せそうに笑う彗。祠稀と有須は、理解できてない顔をしていたけど、あたしは急いで玄関に向かった。


――余計なことを。


そう思っても、瞳は涙で濡れている。


あたしは慌ただしくサンダルを履き、押し開けた戸口から飛び出した。


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