僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……負けんなよ、彗」


伸ばした手を彗の頭に置いて、金茶の髪をグシャグシャと撫でた。


「絶対負けんな。負けそうになったら言え。助けてやっから」


俺の手を黙って受け入れていた彗は、垂れ目がちな瞳で俺を見上げる。


「……へい……兄貴」

「ちょ、かわいいからやめろ!」

「ははっ」


グシャグシャになった髪を気にもとめず、彗は笑った。それがあまりにも自然で、素直で、胸の奥がじわりと熱くなった。


俺も笑い返して、灰が長くなった煙草を灰皿にグッと押し消す。


……負けんじゃねぇ。


理不尽な大人に、理不尽な世の中に、屈伏なんかすんじゃねぇ。


もし、またアイツらが来て。彗を傷つけてまでも従わせようとしたら、俺は黙っちゃいない。


この家を、この場所を荒らすというなら、俺は全力で潰してやる。



立ち上がる気力すら、二度と湧き上がらないくらいに。



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