「あのなぁ、俺はお前がほっとけねぇの。ボケッとしてるし、危なっかしいんだよ。弟みたいっつーか、子分みたいな?」
「……子分になった覚えはないよ」
「例えばの話だっつーの」
フーッと紫煙を吐き出し、彗を見ずに会話を続ける。
「お前は醜くねぇよ」
彗に視線を移すと、疑ってるのか信じ兼ねてるのか、形容しがたい表情をしていた。
「もしお前が醜くいんだったら、俺はさらにその上をいくから安心しろや」
「……祠稀は何も醜くないよ」
その言葉に思わず笑ってしまった。
お前みたいに優しい奴が醜いわけがねぇんだよ、彗。
お前を醜いと言ったやつが醜いだけなんだ。大人のくせに汚くて、ズルくて、自分の欲ばかり求める。そんな奴らの言葉に囚われる必要なんて、これっぽちもねぇんだよ。
「……傷見せろ」
一旦煙草を灰皿に置き、彗に向かい合って左腕を掴む。彗は一瞬ためらったが、すぐに自らリストバンドをずらした。
無数に刻まれた傷に、チクリと口ピの穴が疼いた気がする。
――アイツも、こんな感じだったっけ……。
手首に拡がる切り傷。それは彗が頑張った証であることは間違いなかった。



