僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……、別に隠すもんでもねぇけど、非難する人間もいるからな」

「うん……ありがと祠稀」


素直にお礼を言われると、むずがゆくなる。


今まで生きてきて、ありがとうとか感謝されることなんてほぼなかったもんな、俺……。


つうか、人に感謝される行為とは真逆のことしかしてなかった気がする。


「……祠稀?」

「あ? あ、ワリ。考え事してたわ」


俺は彗のほうじ茶に手を伸ばし、一口飲んだ。


「マッズ! なんだこれ!」

「……おいしいじゃん」


「どこが?」と言う俺に、「何が?」って聞いてくる彗。


そこは香りとか味とかって返すとこだろーよ。不思議ちゃんめ……。


口直しにテーブルの上にあったコーラを口に含むと、つんつん、と彗に腕を二回つつかれた。


見ると、彗は首を傾げて口を開きかけたところだった。