◆Side:祠稀
「お、来たか」
「……おじゃま」
「彗って発言がかわいいよな……」
夕飯を食べ終わり、自室で煙草を吸ってた俺のもとへ彗がやって来た。
「何飲んでんの?」
テーブルの前に座った彗の手には、黄色で絵が描かれたマグカップ。
「……凪が煎れてくれたほうじ茶」
年寄りか。
俺は煙草の灰を灰皿に落として再び咥え、立ち上がる。彗が見上げてくる最中、黒いアルミ棚の中段をあさり、目的の物を取り出した。
「おら。やるよ」
彗はマグカップをテーブルに置き、俺が差しだしたものを受け取る。
「……ありがとう」
目元に微笑みを帯びた彗の近くに座り、煙草をもみ消す。
「今までどうしてたんだよ。まあ彗のことだから、年中長袖だとは思ってたけどよ」
「……うん、夏暑かった」
「それで大丈夫か?」
「……うん、手首だけだから」
彗はそう言って、俺があげた物を身に付けた。スタッズでスカルが描かれた、黒いリストバンド。
やっぱ彗にスカルは似合わねえな……。
と思っていれば、じっとリストバンドを見つめていた彗は俺の視線に気付き、流れるように笑みをたたえた。



