僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「もう! いつまで喧嘩してるの! ほら凪、好きなだけかけていいからっ」

「有須! 好き!」

「いや、そこは止めろよ」

「そっか! 凪っ、塩コショウはほどほどにしなきゃダメだよっ」

「えー!? 味濃くないとやだし! ねぇ彗っ」


有須から野菜炒めを受け取った凪は、キッチンで味噌汁の椀を持つ俺に同意を求めた。


「……食べられれば、なんでもいいと思う」


そう答えると、凪は不満げな顔をする。


「何それ。彗はあたしの味方じゃないわけ?」

「は? 彗は俺の味方だっ」

「はー!? あたしだからっ」

「俺だっつうの!」


また始まった……。せっかく有須が止めてくれたのに。


……でも、本当は嬉しいんだ。


俺の過去を、俺の秘密を知っても、誰ひとりとして変わらず接してくれて。まるで俺はここにいていいんだと言われてるみたいで。


嬉しくて幸せで、気を抜くと涙が出そうで……。そんなこと恥ずかしくてできないから、いつも通りに振る舞うんだ。


俺は喧嘩する凪と祠稀の声を聞きながら、黙々と味噌汁をよそってテーブルに運んだ。



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