「……っ、っ」
祠稀があまりにも近付いて来るから思わず後ずさる。と、いきなり胸ぐらを掴まれた。
ぎょっとする凪と有須を垣間見ながらも、俺より数センチ低い祠稀に目を合わせる。
「……祠稀?」
「手伝え、皿洗い当番」
あ……そっか。俺も――…。
「えっ!? 彗もっ……」
「あははははっ!」
急いで口を覆う有須と笑う凪に、俺はなんの反応もできなかった。
……それは、料理当番の補助が俺だと不安ってことだよね?
「ごご、ごめん彗っ!」
顔を真っ赤にしてアタフタする有須。凪は吹き出して、祠稀は俺の胸ぐらを離した。
「ドジんなよ」
祠稀は悪戯に笑ってキッチンに向かう。その背中を見て、ぽつりと呟いた。
「……頑張る」



