◆Side:彗
凪が、傷だらけの俺の左手首を掴んで見つめていた。いたたまれなくて、凪から視線を逸らす。
不意に、凪が傷を撫でた。チクリと傷が痛み、俺の胸のずっと奥もギュッと痛みが増した。
……リスカしてたことよりも、リスカを隠してたことのほうが傷付くと言った凪は、この傷をどう思ってるのか。
消せない、消えることのない傷。
かわいそう。痛そう。そんな風に思ってるかな。
やめられるか分からないと本当の気持ちを言ってしまって、醜いと思われてないか。軽蔑されてないか。失望、させてないか。
不安で怖くて悲しくて、今すぐ逃げ出したい気持ちになった時、凪が傷を撫でるのをやめた。
「ねぇ、彗? この傷はさ……」
ぎゅっと目を閉じたと同時に聞こえた言葉は。
「彗が生きた証だよ」
同情でもなく、非難でもなく。ただひたすらに、優しい言葉だった。



