「……嫌いに……ならないの?」
彗の頭が、寄り添うようにあたしの肩に埋まった。そのまま、柔らかい髪の毛を撫でる。
「なるわけないでしょ……」
嫌いになる要素すら見つからないよ。
「俺……凪の役に立たない」
「……彗……いるだけでいいの。隣で、あたしを見ていてくれればいい」
「……それしかできない」
いいんだよ、それで。あたしはそれを望んでる。
「充分だよ。……彗がいれば、幸せ」
彗の左手がするりと落ちて、あたしたちは離れた。見上げると、まだ悲しい顔をしてる。
「……何? ……言って、彗。大丈夫だから」
彗は眉を寄せて、思い惑うように口を開いた。
「俺……醜いでしょ? ……傷、消えない。消せないし……やめられるかも……分かんない」
そう言って、自分の左手を見つめている彗にあたしはなんて言うべきか。どう言うのが正しいのか、分からないけど……。
彗の左手を引き寄せて小さく息を吸い込んだ。
思ったままを、伝えるよ。
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