「……強くなりたいのに、強くなんてなれない……生きたいのに……生きる意味が見つからない」
俯いて歯を食いしばる彗は、見てわかるほど左手首を握る手に力を込めた。
「……いつも……見えない孤独に襲われる……視界が、不透明で……地に足が付いてないみたいに……生きてるのか……死んでるのか……分かんないんだ……っ」
ぽつりぽつりと話す、あたしと同じ15歳の男の子。
「……いつも……俺なんかいないみたいに……遺産、遺産って……うるさい……」
彗の虚ろな瞳が宙に向けられ、じわりと目頭が熱くなる。
ここはもう、親戚の家じゃないよ。彗の、彗のためにだけある部屋だよ。
「……朝起こされたことも、食卓を囲んだことも……挨拶をしたこともない。息苦しくて……気持ち悪くなって……溜まったガスを抜くみたいに……気付けばいつも、切ってて………俺は……金じゃないのに……」
彗が今その目に映している光景が、嫌になるくらい想像できて。なんて言葉をかければいいのか分からなくなって……。
気付けばあたしは、震える彗を抱き締めていた。



