僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……有須がね、ずっと不思議に思ってたんだって……。腕捲りしたの、見たことないなって……。皿洗いの時すら腕捲りしないから、変なの……って」


彗の傷を見つめ、手の平を握り締める。


「おじさんの腕を振り払った時、見えたんだって。……心配してたよ。有須も、祠稀も」

「……っ」


ごめんね彗、気付けなくて。彗の寂しさに、孤独に、痛みに、傷に、気付けなくて、ごめんね。



「……ごめん、凪……こんなこと……っ」

「……なんで謝るの?」


顔を上げると、眉根を寄せる彗と目が合った。なめらかな肌に涙が流れたあとがある。


「……凪を……傷つけたくなかったのに……っこんなことして……」

「……」


……彗。そうだった。

あなたは誰よりも、優しい人だったね。


「彗。あたしが傷つくとしたら、彗がリスカしてたことじゃないよ? ……自分を傷つけたくなるほど苦しんでたのに、その苦しみを言ってくれなかったことに対してだよ」

「……ごめん……でも……リスカしなきゃ……」


生きてるのか分からない。


そう言って、彗は自分の左手首を握った。