「……有須がね、ずっと不思議に思ってたんだって……。腕捲りしたの、見たことないなって……。皿洗いの時すら腕捲りしないから、変なの……って」
彗の傷を見つめ、手の平を握り締める。
「おじさんの腕を振り払った時、見えたんだって。……心配してたよ。有須も、祠稀も」
「……っ」
ごめんね彗、気付けなくて。彗の寂しさに、孤独に、痛みに、傷に、気付けなくて、ごめんね。
「……ごめん、凪……こんなこと……っ」
「……なんで謝るの?」
顔を上げると、眉根を寄せる彗と目が合った。なめらかな肌に涙が流れたあとがある。
「……凪を……傷つけたくなかったのに……っこんなことして……」
「……」
……彗。そうだった。
あなたは誰よりも、優しい人だったね。
「彗。あたしが傷つくとしたら、彗がリスカしてたことじゃないよ? ……自分を傷つけたくなるほど苦しんでたのに、その苦しみを言ってくれなかったことに対してだよ」
「……ごめん……でも……リスカしなきゃ……」
生きてるのか分からない。
そう言って、彗は自分の左手首を握った。



