僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……見せて、彗」


左手を引き寄せると案の定、彗は右手で制止してくる。自分の左手と、あたしの手を引き止める彗の手は、小刻みに震えていた。


その姿にあたしも泣きそうになったけど、泣いちゃいけないと自分に言い聞かせる。


ごめん。そう何度も心の中で謝りながら、もう一度だけ彗の左手を引き寄せた。その力に反発しようとする彗は、『やめて』と訴えるような視線を向けてくる。


「彗……、手を離して」


戸惑って、泣きそうな顔をする彗に、あたしは残酷な言葉を放つ。



「知ってるの。彗が、リスカしてること」



綺麗な薄茶の瞳から、一筋の涙が落ちた。


「……っ」


彗は右手を力なく落とし、俯いてしまった。あたしは躊躇することなく、彗の左手の袖を肘まで捲り上げる。