僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「彗の脈略ない会話ってさ、割と一方的でしょ? ……あれはね、話し続けるのに慣れてないだけなの」


――彗は人と接するのが怖い。


凪が言ってた言葉が脳裏に浮かぶ。


……きっと彗は、親戚の家にいる間、息苦しかったんだろうな。


遺産目当ての卑劣な人たちに囲まれて、怯えて、憎んで……。結果、人と関わりたくなくなって、できるだけ会話を避ける……。


彗は今まで、どれだけ寂しい思いをしたんだろう。それを考えると、本当に胸が痛んだ。


人と接するのが怖い。あたしはその気持ちが、よく分かるから……。


「……凪。あたしも祠稀も、彗を嫌いとか苦手だなんて思ってないよ?」


笑顔で言うと、凪は眉を下げてあたしを見た。


「そうそう。つーか、彗がいなくなったら困るっつーの。俺アイツとけっこう気ぃ合うし、一緒にいても飽きねぇよ」


凪は祠稀を見て、グッと眉を寄せた。再び滲んだ涙を、堪えるために。