「彗がね、ワンテンポ返事が遅かったり脈略ない会話をするのは、怖いからなんだ……人と接するのが、怖いんだよ」
凪はそう言いながら口角を少し上げたけど、その目は悲しそうで……胸がつかえた。
祠稀も眉を下げながら、凪を見つめていた。
「あたしと暮らし始めた時からなんだよ。いつも遠慮がちで、相槌ばっかりで……会話に混ざろうとしないで……じっとしてるの」
凪は思い出すように、実家から持ってきたのであろう机やテーブルを眺める。
「それでもあたしは彗がいることが嬉しくて、遠慮なく話しかけてて……あたしひとりっ子だからさ……親は仕事で忙しかったし」
……凪ひとりっ子なんだ。家事できたり、テキパキしてる理由が分かった気がする。
「そのうちね、あたしがあんまりうるさいもんだから、彗が初めて自分の意見を言ったの。……聞こえてるから、そんなに忙しく話さないで……って」
ふっと笑みをこぼし、凪は視線を落とす。



