――キラリと物騒に光る物が、いつの間にか右手に握られている。
「………」
ゆっくりゆっくり左手首に浮かんできた、真紅の命。それが手首を伝って流れるのを見て、ほっとする。
ドクン、ドクン、と打つ脈と、段々と現れる鈍い痛み。
それらを感じて、ああ、よかった。まだ生きてた……。そう、思える。
そしていつもフッと鼻で笑って、自分を嘲笑するんだ。
「……ホント……醜い……」
……ごめんね、凪。心配、してくれてたよね。爪を立てて強く握ったから……って。
――違うんだ。
違うんだよ。
流れるように右手から落ちた物は、カシャンと音を立てて床に横たわった。それを、ゆっくり見下ろす。
バカらしくて、笑える。
惨めで、泣けてくる。
「……っ……」
頬を伝う涙が、まるで癒やすように、左手首に落ちた。
自ら傷つけた、血の浮かぶ場所に。



