あの人に掴まれたという実感が、嫌でも感じられる。
『……まだそんなことを』
『……醜い奴だな、本当に』
そんなの、言われなくたって知ってるよ。
嫌いな声が、耳に響いて離れない。延々と響くその言葉を消すように、俺は両手で耳を塞いだ。
――うるさい。うるさい。
気付いてたのか。気付いてたのに……俺に対する態度は、なんで変わらなかったんだ。
「……無関心って、ことだよね……」
おじさんが俺に興味がないなんて知っていたけど、分かっていたけど。改めて知りたくはなかった。
おじさんだけじゃない。他の親戚だってみんなそうだった。優しく見せかけて、遠慮がちにお金を求めてきたり、遺産をみんなで分けないかと提案してきたり……。
俺に求められるのは、遺産だけ。
遺産がなきゃ、俺なんて必要ないんだ。
誰も俺のことなんか、見ていない。



