「あの、彗は……おじさんたちがここに来ることを……ご存知なんですか?」
聞きづらいことを口に出すと、おじさんはマグカップをテーブルに置いて溜め息を吐く。
「何度も連絡をしたんだけどね。返事がいっさいなくて……まったくアイツは……」
「……」
あたしと祠稀は少しだけ視線を交えた。
――まずい。そう感じたから。
きっと彗は、会いたくないんだ。そうあたしが思うのは、このふたりは本当にただの“育ての親”なんだと感じたから。
両親を亡くした彗を、ただ、家に置いただけ。きっと関心も愛情もなく、笑いもしなければ喋りもしなかったのは、彗じゃない。
例え彗がそうだったとしても、そうなってしまった原因は、今目の前にいる愛想のないふたりのせいじゃないの……?
でも、そんなこと、あたしたちが勝手に判断してもいいことなのかな。だけど本当に感じるんだ。
なんでか凄く、このふたりに彗を逢わせないほうがいいって、頭の中で警告音が鳴ってる気がする。



