「来る者拒まず、去る者追わずの祠稀には理解できないでしょうから教えない」

「はぁああ!? 喧嘩売ってんのか!」

「け、喧嘩しちゃダメ!」


携帯を胸に抱いたあたしと、身を乗り出した祠稀の間に割って入ってくれる有須に感謝。その隙に彗が、絶妙なのか微妙なのか分からないけど、フォローを入れてくれる。


「照れてるだけ……照れ隠し。ね?」

「別に照れてないし!」


首を傾げて同意を求めてきた彗から顔を背け、立ち上がる。


「誰でもいいから、先にお風呂入っちゃってね!」


それだけ言って自室に向かったあたしの背後で、「じゃんけんする?」という彗の声に、心の中でありがとうと呟いた。


部屋に入り、ベッドに腰掛ける。ドキドキとうるさい胸を抑えて受信メールを見た。


「………ふっ」


メールの内容に、思わず笑みが零れる。


なんて、バカなことを。


短い、たった一文のメールを繰り返し読むことはなく、返信ボタンを押した。白紙の本文には、カチカチとボタンを押す度に文字が出てくる。


大して長くない文章は、1分もかからずに打ち終わった。



≪あたしは会いたくない。≫



大切な君へ、残酷なメール。