◆Side:凪


「いっけー!!」

「ぎゃー! 凪バカ! やめろ!」


夕飯を食べてお風呂に入ったあとはリビングに集まって、テレビの前でゲームをする。休日の夜はいつもこうだ。


まあ、平日もだけどね。


「いやったぁー! 2連勝っ」

「凪に2連敗とかありえねぇ……」


両手を上げて喜ぶあたしとは真逆に、祠稀はガックリと肩を落とす。そんな祠稀にフフンと得意げに笑った。


「学校終わって夕飯作ったあとに彗と対戦してるからね。強くなったでしょ? ねー、彗っ」


テーブルの真ん中で宿題をする有須の横で、あたしと祠稀の対戦を傍観していた彗は微笑む。


「あんま教え込むなよ彗! 弱いやつをボコボコにすんのが楽しいのによぉ」

「……それゲームの話だよね?」

「うはは! 言われてやんの〜っ」


彗の疑うような瞳に吹き出すと、「ゲームの話だっつーの!」と、祠稀は顔をしかめた。


「俺は弱ぇ奴とは喧嘩しねぇよ」

「……この前3年生のことボッコボコにしてたよね?」

「売られた喧嘩は別ですけど?」

「あははっ」


祠稀と彗の会話に、宿題を解いていた有須が笑う。すると、テーブルや床に置いてある誰かの携帯が不意に鳴った。


………! この着信音!