「ああもう! 有須、着替えといでっ。このふたりに全部食べられる前に!」


キッチンから彗と祠稀をつまみ出した凪に言われて、笑いながら頷いた。


「あはは! お腹空いてるんだね。着替えてくるっ」


自室に入りドアを閉めると、電気を点けて鞄をベッドの横に置く。制服のリボンを取り、ワイシャツのボタンを外しながらクローゼットを開けた。


部屋着、部屋着……。


下着姿になったあたしは衣装ケースの中から、凪がおそろいで買ってくれていた部屋着を取り出す。


淡いピンク色のオールインワン。ベロア素材で、手触りも着心地もいい。


凪は濃い紫で、凄く似合うと言ったら「有須もピンク似合うよ」と微笑んでくれた。


そんなお気に入りの部屋着を持って、ベッドに腰掛け足から着始める。


ふと、目の前にある等身大鏡が目に入って動きが止まった。当たり前に、あたしが映ってる。


「――っ」


突然、脳裏に映し出されたあたしに、ゾッと背筋を駆け巡った取り留めのない何か。


――ドッ、ドッ、と体の内から鳴る鼓動に、体温が下がっていくような感覚。


込み上げた吐き気に急いで口元を手で覆い、鏡から目を逸らした。けれど、鏡よりもリアルに自分の体が目に入ってしまう。