シトシト シトシト……


 音を起てず細い雨が降っている。


 学校の帰り道


 ボクは、傘をクルクル回しながらいつもの様に公園の横を通る。


 「みー みー みー」


 微かに聞こえる鳴き声


 ボクは足を止め、声のする方へとゆっくり歩みよる。


 公園の滑り台の下に大きな段ボールが一つ。


 中を除くと


 両手に乗りそうなくらい小さな小さな子猫。


 白、黒、茶色…


 みんな震えて鳴いている。
 

「可哀想に、置いてきぼりにされちゃったんだね」


 持っていた傘を猫ちゃんたちの上に被せる。


 「大丈夫だよ、ボクは漣(レン)」


 まだ瞳が半開きの彼等の背中をそっと撫でる。


 「待っててね、今ミルク持って来るからね」


 シトシト細い雨の中を走って帰る。